ついに、恐れていたことが起きてしまいました。それは、私一人で子守りをする状況になってしまったのです。
わが「訪問看護ステーションのあ」のスタッフは皆、女性で、男性は私一人。
皆がいる前で、赤ん坊をあやすことはできても、いざ、一人になって、赤ん坊の面倒を看ることが本当にできるのか。
若干の不安はあっても、持ち前のプラス思考で、「まあ、何とかなるさー」と、思ってはみたものの、いざ、「社長、お願いしますよ」
と頼まれた時、「まかしとき」とは言ったものの、「大丈夫か」と一抹の不安がよぎりました。
なんでも初体験は、自信がないものです。
初めの五分くらいは余裕でしたが、さあ、待ってましたとばかり、赤ん坊が泣き始めました。
泣き止まなかったら、立って赤ん坊を抱き、あやしてくださいといわれていたので、立ってあやしてはみたものの、一向に泣き止みません。
高い高い、ベロベロバー、鬼瓦ー、あらとあらゆることをやってみましたが、効果なし。赤ん坊の泣き声、とどまることを知らず。
昔から、「泣く子と地頭には勝てない」という諺(ことわざ9がありましたが、まさに思い知らされました。
私の赤ん坊の頃も、こんな感じで母親を悩ませていたんだろうなと、反省することしきり。よくもまあ、私を含めて、男の子三人、育てたものだ
と改めて母親に感謝。
ママのあっくんがかえってくるまでの1時間半、初子守りは、見事に玉砕しました。
あっくんによると、最近、人見知りするようになって、彼女以外の人が抱くと、泣くようになったそうです。
そういえば、思い出しました。自分のこと。母親以外の男の人が自分を抱いた時、わんわん泣いたことを。なぜか、覚えていました。
私を抱いた男性は、誰かは存じませんが、さぞや困ったことでしょう。申し訳ないことをしました。
あの頃は、母親が絶対でしたね。片時も離れることは私にとって恐怖だったような気がします。
そして、赤ん坊の頃の記憶って、あるものなんですね。思い出したことに、感動してしまいました。
幹太君(赤ん坊の名前)、今度はもう少し手加減してね、頼みます。