新しい取り組みとして、終末期のがん患者と向き合う医療従事者らの燃え尽きを防ぎ、
よりよいケアにつなげる心のトレーニングGRACE(グレイス)が注目されています。
患者さんや利用者さんの苦悩に対処しきれない無力感や罪悪感、チーム内での意見対立
に伴うストレスなどを、瞑想で克服しようとする取り組みです。
アメリカから生まれたこのGRACEを、日本でも取り入れようという動きが始まりました。
GRACE(グレイス)は、次の5のステップからなります。
1、注意を集中させる。
2、動機、意図を思い起こす。
3、自己と他者の思考、感情、感覚に気づきを向ける。
4、何が役に立つかを熟慮する。
5、行動する。終了する。
以上の5つの英語の頭文字をとって、GRACEと名付けられました。
開発したのは、米国の医療人類学者で禅僧のジョアン・ハリファックス氏。
終末期の患者や家族のケアに40年以上かかわってきた経験と脳科学や認知科学
の知見に基づき瞑想の効果を提唱されています。
医療従事者にとっては、患者さんとか利用者さんのケアをまず第一に考えますので、自分に対するケア
ということまではなかなか思い至りません。患者さんや利用者さんの苦悩や悲嘆といった問題に寄り添い
慈悲と思いやり、共感といったプロセスの中で、何が役に立ち、重要なのかを感じ取る能力を養うことが
必要です。そのためにも、医療従事者の心を瞑想で癒すということは、燃え尽き症候群を防ぐ上でも大変
重要であると思いました。
「訪問看護ステーションのあ」が取り組んでいる課題として、癒しを与えてあげたいと思っている者が、実は
一番癒しを必要としているという問題意識があります。その課題に取り組むにあたって、スタッフの癒しを重視し、
GRACE(グレイス)などにも取り組んでいきたいと思いました。
そうすることで、利用者さんによりやさしく、親切に、思いやりをもって接することができるようになると感じ
ました。