これほどまでに心を揺さぶり、涙した瞬間はかってあったでしょうか。
フリーアナウンサーの小林麻央さんが、お亡くなりになりました。
日本中の誰もが彼女の回復を願い、祈り、しかしその願いは果たせませんでした。
でも、彼女の残した奇跡は、癌が治ることよりもさらにすごい奇跡だと思います。
人間ってこんなにも神々しく神様のように変われるのですね。
そして、人を救い、変えることができるのですね。これこそが、本当の奇跡だと思います。
病気を抱える人は、繊細で傷つきやすいです。できれば、息をひそめて静かな闘病生活を
送りたいと思っていることでしょう。でも、彼女は、病気の影に隠れようとして心や生活
をさらに狭いものにしている自分に決別するために、自分をさらす決意をしました。
それは、自分を含めた多くのがんに悩んでいる人々をささえたい、勇気のもとになりたい
という切なる願い。
医療現場では、「傾聴、共感、受容」が痛みを和らげるといいます。260万人を超える
彼女のブログ、まさに「心」が、多くの人の心を癒し、励まし、勇気を与えたことでしょう。
当たり前のように、明日がくると思いがちな日常が、決して約束されていない人々にとって、
家族の愛、夫婦の愛、子供たちの愛は、かけがえのない一瞬一瞬の輝きを放つことでしょう。
家族に愛され、愛した、いろどり豊かな人生を麻央さんは生ききり、最後に発した言葉は
「愛している」でした。
34歳という短い生涯でしたが、しかし人生は長さではない。その内容であるということを
改めて教えていただきました。キリストは、33歳で十字架刑で亡くなりましたが、その生涯
は、2000年たっても多くの人の愛の元になり、癒し、励まし、人々の魂を救い続けていま
す。
麻央さんの生きた証、その愛を胸に、これからも訪問看護ステーションのあは、人々に寄り添い
痛みを和らげ、支えていく存在として活動を続けてまいります。
麻央さん、ありがとうございました。安らかにお眠りください。