のあの箱舟日記

2022年02月22日

のあの訪問看護便り~ペットは友達~

一人暮らしされている利用者さんのお宅に訪問すると、ペットを飼っていらっしゃる方が結構、いらっしゃいます。猫であったり、犬であったり、小鳥もいます。中には利用者さんのお宅に初めて訪問した時、後ろから大きな亀さんに出くわして、「キャー」と叫んでしまったスタッフもいます。

 いずれにしても、利用者さんにとっては、ペットはかけがえのない存在であり、生きる原動力になっているような気がします。ペットを飼うと、幸せホルモンが出て、人間の寿命が伸びたり、病気の改善にも役立つと言われています。ペットとの交流を通して癒されたり、元気がもらえるんだと思います。

 ただ、利用者さんにとってはペットは友達であり、家族ですが、われわれ訪問看護の人間にとってはよそ者。ペットと訪問看護のスタッフとの攻防があります。懐いてフレンドリーなペットもいれば、何回も訪問しているのに懐いてくれず、逃げ回るペットとか、威嚇してくるペットもいます。相手がいくら動物でも、嫌われていると、やっぱりこちらも傷つきます。「そんなに嫌わないで、仲良くしてね」と、頼みたくなります。

 ペットとの関係は微笑ましいですが、問題もあります。一人暮らしの利用者さんにとっては、「自分がもしもいなくなったら」と、心を悩ませています。最近、お亡くなりになられた名女優の八千草薫さんも、お子さんがいなかったので、ずっとペットを飼っていたようです。猫ちゃんとワンちゃんです。ご高齢になって、ペットを飼うことに躊躇していたようですが、「先のことは考えない、なるようになる」という思いで、犬と猫を飼っていたようです。仲良く、いつも玄関の前で待っていてくれて、とても幸せな気分になれると著書で書いていました。八千草薫さんにとって、それこそ、宝物だったでしょう。彼女にとってペットを残して先に行ってしまうことは、とてもつらいこと。八千草さんの場合は、ご自分の終活の過程で、ペットの引き取り先を遺言していらしたと聞きましたが、「あなたたちを残して、先に来てしまって、ごめんね・・・・」と、天国から言葉をかけているのではないでしょうか。

 わが訪問看護ステーションのあにも、猫ちゃんが一匹、なぜか事務所に住んでいます。チャコちゃんと言います。推定年齢15歳。一人暮らしの利用者さんが入院され、引き取り手がいなくなって、わがステーションで育てることにしました。

 最初のころは、食べ物も水も飲まず、衰弱していき、どうなることかと思いましたが、ようやく最近、食べ物や水を取るようになり、ほっとしています。まだ、どのスタッフにも懐きませんが、管理者のなおみさんには懐いて、甘えるようです。早く慣れて、のあの看板ネコちゃんになってくれるといいですね。

 残されたペットの行き先を生前、考えることは、とても大切なことです。これからも、お宅を訪問し、利用者さんのペットと攻防しながら、利用者さんとペットの幸せを共に考えていけたらと思います。